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青空と逃げる 感想

青空と逃げる 感想

 

辻村深月さんの青空と逃げるを読んだので感想を書きます。読んでて面白かったですしサクサク読めたのですが、個人的にはもやっとした点が強すぎてうーんって感じでした。重大なネタバレを含むのでご了承ください。

 

 

話としては、夫がダブル不倫の疑いがかかり、さらに有名な女優であった浮気相手が自殺し、そして夫がいなくなってしまう。夫を探すために浮気相手の事務所の人間やマスコミが自宅を毎日のように突撃してきて、それらから母親の早苗と子供の力が逃げ回る旅をするという内容ですね。もやっとポイントとしては、子供と父親、母親の間でコミュニケーションがしっかりできてなかったってだけの話だよねって思ってしまうことです。父親は浮気してないという結末(たぶん)なので、それは母親に対して直接ちゃんと話すべきだし、母親はクローゼットの包丁について子供と早く話していれば、お父さんとあってやりとりしてるということが聞けたかもしれません。

父親が消えた理由は浮気相手の子供に刺されそうになったことを揉み消すためであって、そのことが明るみになればさらに炎上するのでそれは分かると思ったのですが、それは早苗にちゃんと言うべきじゃねって思います。自分だったら無実なら家族に対して無実だって説明しますし、早苗に負い目があるから連絡できなかった、つまり、浮気してたのではと勘ぐってしまいます。浮気してなかったという内容は力に対する言葉でしかないですし、子供に対して嘘ついた可能性もあるのかなとか思ってしまいます。

そんな感じでもやもやしたラストでしたが、旅して回る四万十川や家島、別府の良さはすごい伝わってきて、田舎の穏やかさの良さは感じられました。特に別府の砂風呂は一回入ってみたいと思いましたね。実際の田舎がそうなのかは分かりませんが、早苗と力が関わる人々がみんな温かくて優しくてエモいポイントでした。辻村深月さんの小説は理不尽な展開とか辛い内容も多いですが、温かい人々を書くときの優しさは胸にくるものがあるなと思いましたね。