頭の中のふきだまり

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ロードムービー 感想

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辻村深月さんの短編集。冷たい校舎の時は止まるのスピンオフ。冷たい校舎の時は止まるを読んでなくても分かるっちゃわかりますが、深みが10倍くらい違うので、冷たい校舎の時は止まるを読んだあとに読んだほうがいいです。

 

ロードムービー

トシちゃんが男だと思わせておいて女の子だったという叙述トリックでしたね。女の子が男の子をいじめることに違和感を感じてましたが、トシちゃんが女の子だったなら、女の子の嫉妬なんかもあって醜いいじめに発展しそうだと思いました。ワタルの演説内容からトシちゃんとの友情が感じられてよかったです。希望の描き手としての辻村深月っぽさを感じられましたね。冷たい校舎の時は止まるとのつながりとしては、トシちゃんは景子と裕二の子供だったわけですね。また、鷹野おじさんと美月の結婚式も描かれててエモかったです。冷たい校舎の時は止まるを読む前に読んでしまったので、もったいないことしたなーと思いました。

 

・道の先

大学生の充が将来に絶望している中学生千晶と関わっていく話。この話は冷たい校舎の時は止まるを読んでないと、深く理解できないと思いますし、先生いじめをしている生意気なクソガキに対してイラッとするだけで終わりそうです。

充がなぜ千晶に優しくしたのかというのはこの作品だけではわからないのですが、千晶が自分が昔抱えていたような将来への絶望感を持っていること、昔憧れていた梨香に似ていたことが理由としてあるんだと思います。だからこそ放っておけなかったし、絶対に大丈夫になるよと声をかけて救いたかったんだと思います。

大学生の充は明るい絶望から抜け出すことができていたことがわかりほっとしたし、教え子に大丈夫と言えるようになるまで成長してて嬉しかったですね。

 

・雪の降る道

鷹野と美月の子供時代の話。ヒロちゃんを亡くしたヒロを元気づけようとするみーちゃんが健気で泣けますね。誰かの痛みを自分のことのように悲しむことができる繊細さが、この頃から美月にはあったのだなと思いました。そしてスガ兄はヒロ達にとって頼りになる存在であることも感じましたね。

最後に冷たい校舎の時は止まるの冒頭に戻るところで、クローバーの栞をまだ使い続けてる鷹野が描写されててエモくなりましたね。

 

冷たい校舎の時は止まるはかなり暗い雰囲気で、あんまり救われずに終わるキャラとかも多かったのですが、この作品はハッピーな終わり方になってて、心が温まるような作品でした。