前から読みたかった湊かなえさんの告白について読みました。とても面白くて一気に読み終わりましたね。イヤミスと呼ばれ読後感の悪いと言われてる作品で、確かにどんどんストーリーは重くなりしんどくなりますが、劇的な復讐がなされるラストは結構好きです。以下ネタバレありで感想書きます。
面白かったのでいろいろな人の感想や考察を読んだのですが、ラストについては解釈が分かれるのかなと思います。映画では最後になーんちゃってという台詞で終わっていてこれは原作にはない台詞なのですが、爆破自体が嘘なのか、修哉が母親を爆殺してしまったことは更生の第一歩だとは思いませんか、に対するそんなわけねえだろという意味なのか、映画でも含みを持たせた終わり方になっています。
解説で映画監督の方が言及していますが、キャクターの独白のみで話が進む本作は嘘が入る余地がかなりあります。各キャクターの告白は、意図的に嘘をついている可能性もあるし、無意識に思い込んで嘘をついてる可能性もあります。
そんなわけで、爆弾を修哉母の大学に設置したということは嘘なのではという考察が持ち上がるわけですね。理由としては、以下のことから考えられます。
・修哉の家から母親の大学まで電車と新幹線と地下鉄を乗り継いで4時間かかる
・森口先生は今朝方爆弾を解除した
・ホームページに修哉が投稿したのは始業式の前日
・森口先生は爆弾を解除してから母親と会っている
これらのことから森口先生はホームページを確認してから、早朝に爆弾を解除、爆弾を大学に持っていき、母親と面会し、爆弾設置したことになります。一般的には始業式は午前中のせいぜい9時くらいと考えると、爆弾解除から始業式までに、森口先生がこれらの行動をすべてやるのは時間的に無理があるのではという考えもたしかに浮かびます。
ただ、私の見解としては森口先生は嘘をついておらず、爆弾を修哉の母の大学に置いていたような気がしてます。森口先生は修哉と直樹のことをめちゃくちゃ憎んでましたし、ウェルテルを使って直樹のことは廃人に追い込んでます。直樹より憎い修哉に対しては相応の復讐が必要です。修哉に対する復讐とは何でしょうか。修哉は母親に執着しており、修哉の行動は母親に認められる、認知されることが目的でした。その母親に対して修哉の手で殺させることで、本当は母親が、修哉に対してどう思っていたのかを永遠に知ることができなくさせることが、森口先生の復讐だったのではないかと思います。なので、修哉の母親を確実に殺すために、所在確認目的も兼ねて会いに行き、爆弾を設置していたのではないかと思っています。
復讐物は結構好きなのですが、この作品は復讐がエグくて結構好きでした。登場人物が全員狂っていてうわあって感じなところも刺激的で好きです。湊かなえさんの他の作品も読みたいなと思いましたね。