頭の中のふきだまり

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疾風ロンド 感想

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またしても読んだ小説の感想です。東野圭吾の疾風ロンドを読みました。東野圭吾なので凝ったトリックがあるミステリなのかと思ってたら、ほぼミステリはなく娯楽小説って感じでした。東野圭吾だと思って読むと拍子抜けな感じですが、普通に面白かったです。映画化もされていますが、わかりやすいキャラが多いので、映画化しやすい作品だったのではって感じです。ネタバレ有りです。

 

○内容について

研究所から危険な生物兵器が持ち出されてしまい、脅迫されるところから始まりまったので、相棒とかでありがちなやつやなって思いながら読んでいたのですが、犯人があっさり死んでしまうとは予想外でしたね。

その後は隠し場所への手がかりをみつけ、スキー場で捜索する流れとなるのですが、横取りしようとする奴が現れたり、二転三転する物語は結構面白かったです。生物兵器を扱っていますが、特に暗くなることもなく、出てくる人物も凡人だらけなので、割と平和な感じがしました。生物兵器の情報が裏社会に漏れてたらテロリストみたいなのが絡んできて、血生臭くなってもおかしくは無いですけどね。

あまりテーマ性のなさそうな作品ですが、家族の絆がテーマになってたのかなと思います。主人公の栗林とその息子秀人の関係はこの話を通して深まったかどうかは分かりませんが、少なくとも秀人は成長を見せているのかなと思いました。物語の最後に父親に対して、生物兵器について警察に届け出るように意見してますが、それまでの関係だったら言えてなかったのかなと思います。父親に頼られたことで自信を得たり、他人だった同級生と繋がりを持つ経験が秀人を成長させて、父親とちゃんと向き合えるようになったのかなと思います。父親の栗林の方はあんまり成長してなさそうですが、息子に諭されて、変わっていけたらいいですね。生物兵器の行く末については、明言されていませんが、栗林によって世間に明らかにされるのではって感じの終わり方でした。

 

○キャラクターについて、キャラがキャッチーだけどペラペラ感もあり

とにかく読みやすい作品なんですけど、深みはほとんどないなあって感じでした。出てくる人物がわかりやすいキャラづけがされてるので、読んでて非常にわかりやすいですね。その反面、キャラクターに二面性がないので、話が軽い感じがしました。主人公の栗林はよくいるような中間管理職っぽいやつですし、上司の東郷は怒鳴るだけの無能って感じですし、兵器を狙ってる折口も有能ぶってるけど小物感があります。こんな感じでキャラづけがわかりやすいのですが、みんな小物臭がして、大衆娯楽っぽさがあるんですよね。おそらく東野圭吾も重厚な話が書きたくてこの話を書いた訳ではないと思うので、ライトな話をサクッと読みたい人にはオススメな気がします。

 

あんまり多く感想を書くことはない作品でしたが、普通に楽しめたのも事実でした。見てないですが、アクションもある作品なので、もしかしたら映画の方が面白いかもしれません。