頭の中のふきだまり

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タコピーの原罪 感想 

今更ながらタコピーの原罪を読んだので感想を書きます。ちょっと前に話題になった作品ですが、ジャンププラスで今更ながら読みました。単行分で2巻しかないのでサクッと読めますが、サクッと読むにはかなり内容が重たい作品でした。以下ネタバレを含みます。

 

いじめを受けているしずかちゃんにタコピーという地球外生物が関わっていく話。しずかちゃんはまりなちゃんにイジメられていて、両親からも愛情を受けておらず、頼れるのは犬だけという厳しい環境でした。いじめているまりなちゃんも、父親がしずかちゃんの母親に入れ込んでいて、母親がメンタル不安定になっていて可愛そうな環境です。自分の家を壊した存在の娘であるしずかちゃんを憎みいじめるように、なったわけですね。

4話あたりでタコピーがまりなちゃんを殺してしまい、ここでタコピーの原罪というタイトルが回収され、鳥肌たちましたね。

実はタコピーが2016年にしずかちゃんに会う前に、2022年にまりなちゃんと一緒にいました。狂った母親に殺されそうになったまりなちゃんが逆に母親を殺してしまい、まりなちゃんはタコピーにしすかちゃんの殺害を頼みます。そうしてタコピーは2016年にたどり着いていたわけですね。

いじめは許されるわけじゃないですが、まりなちゃんの家庭環境はひどいもので、かわいそうな部分はあると思えます。しずかちゃんをいじめたところでどうにもならない訳ですが、小学生のまだ幼い子供が辛い環境で憎しみをぶつけてしまうのは仕方ないのかなと思いました。環境を憎んで人を憎まずといったところでしょうか。

タコピーの原罪のすごいところは、しずかちゃんサイドとまりなちゃんサイド両方のしんどさをしっかり描いているところだと思います。お互いの環境から引き出される結果にままならなさを感じましたね。

最終的には、タコピーの存在と引き換えに再度タイムリープして、タコピーの存在を軸にしずかちゃんとまりなちゃんがおはなしをすることができて、ハッピーエンドになります。つまるところ、この作品で伝えたかったことは、対話により人の心を救うことができるということだと思います。

私もしんどいときに人と話して救われた経験は何度もあります。人間関係を修復するためにはやはり対話しかないのだろうと思います。この作品のように対立した関係がおはなしできるようになるには、それこそタコピーの存在と引換にタイムリープするくらいの奇跡がないと難しいのかもしれませんが、大切にしたい関係性、例えば夫婦だったりであれば、諦めず対話を試みることが大事なのかなと思いました。