頭の中のふきだまり

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ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5巻 感想

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よう実11.5巻を読んだので感想を書いときます。試験はありませんが、盛りだくさんな内容な上、物語が動く非常に重要な巻でしたね。珍しく綾小路の内面について扱った内容でもあったと思います。ラストが非常に衝撃的で嬉しさと辛さとが混ざり合う何とも言えない気持ちになりました。以下ネタバレありとなります。

 

↓クッションのため11巻感想

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学校サイドの味方作り

ラストが非常に印象的な巻でしたが、他にも色々あったので、時系列的に書いてきます。

最初は坂柳理事長や先生陣とのやりとりがあり、月城対策としての動きが描かれました。A組の真嶋先生は有能かつ生徒思いで誠実な感じがしたので、引き込めたのは大きいですね。ゲームマスター的な立ち位置の月城を、一人で相手するのは流石の綾小路でも厳しいので、学校サイドに味方を作れて良かったと思います。また、対月城では坂柳が味方になってくれそうなので、それも力になりそうですね。今回はほぼ出番なしの坂柳さんでしたが、やはり綾小路に対しては特別な思いがありそうな感じがします。

 

龍園がらみの話

ひよりを通じて龍園を挑発した綾小路ですが、龍園をもっと成長させる意図がありそうです。前回の自分の感想でも書きましたが、下剤仕込むのって割とガバガバな策だったと思ってて、そこら辺が抜け目なくなってくると龍園がより力を発揮しそうです。綾小路に負けて終わったかに見えた龍園ですが、前回で復活し、今回でより成長する意思を見せていたので、次回以降主とした活躍がありそうですね。

とはいえ、綾小路の単純なそそのかしでやる気になっちゃう龍園くんはなんだか可愛い感じがしますし、やっぱり現時点では綾小路とは格が違いますね。

龍園がらみの話では、橋本と神崎の話もありました。橋本は相変わらず小者ぽい動きな気がしましたが、神崎は汚い手を使ってでもB組を守る意思を見せていて意外な感じでした。3人で立ちションする流れは、何じゃこれって感じでだいぶ面白かったです。これは衣笠さんもふざけてた気がします。

 

一ノ瀬との関係

なんだか意味深な関係となった一ノ瀬と綾小路。龍園にボコされて凹んでた一ノ瀬さんを立ち直らせる流れでした。一ノ瀬さんは割と打たれ弱いですが、やはり弱ってる一ノ瀬さんはかわいいですね。一ノ瀬さんは綾小路に弱みを見せすぎていて、頼っちゃいけないけど頼ってしまうような感じになってる気がします。綾小路は、おそらく一ノ瀬が自分に想いを寄せていることがわかっていて、『一年後にこうして2人でまた会おう』という約束は、一ノ瀬の恋心を利用して立ち直らせたような感じもします。また、『一年後に今言おうと思ってる言葉を言おう』という台詞をだいぶ意味深でした。単純に考えると告白を匂わせてるのかとも思いますが、一年後に言うのは突き放すような言葉なのかもとも思います。そもそもこの伏線が回収されない確率も割とある気がしますね。

一ノ瀬はだいぶ好きなキャラでしたが、この後の軽井沢さんとのこともあり、今後のヒロイン候補としては遠ざかっていきそうな感じでやや残念です。

 

堀北の成長

そして、堀北の成長が描かれた巻でもありました。この一年で1番成長したキャラは堀北だったと思います。これまでも戦術や精神的に成長してきた堀北ですが、兄という理想像を追い求めて自分を見失っていたことを理解し、その幻想を打ち破ることで、もう一皮向けた感じでした。髪をバッサリいったので、挿絵ではぱっと見、誰かわからない感じになりましたが、ショートもいい感じだと思います。兄と離れ離れになった悲しみも乗り越えた堀北さんは、1年前とはまるで別人で、これから更にクラスを引っ張る存在になっていきますね。

綾小路の前で涙を見せた堀北さんですが、個人的には、今のところヒロイン候補にはならない気がします。堀北さんに全くその気がなさそうですし、戦友的ポジションになりそうです。ただ、堀北兄がポテンシャルは自分より上と言っていて、綾小路並みの実力をつける可能性もあるので、ヒロインの可能性もゼロじゃない気もします。

 

軽井沢さんとラストの挿絵

最後、綾小路が軽井沢さんに告白し、2人が結ばれるという終わり方でした。告白を受けて返事をする時の軽井沢さんはめちゃくちゃ可愛かったですし、これだけ見るととてもハッピーな終わり方に思えますが、実際は非常に不穏な終わり方となっています。告白を受け入れてくれた相手を無感情な目で抱きしめている最後の挿絵には鳥肌が立ちました。

綾小路が軽井沢さんに告白した動機は、恋を知りたいという好奇心と軽井沢さんの依存体質を直すことが目的だったと思います。そのため、軽井沢さんのことは大事だと思ってるでしょうけど、恋愛感情は抱いていない気がします。感情で告白しておらず、全て計算の元動いている綾小路はだいぶ怖いですし、人として大事なものが欠落してる気がします。

この後、綾小路が恋についてはもう理解したとなって、軽井沢さんが捨てられる未来が見えますし、依存を直すために突き放すようなこともしそうで、どっちにしろ軽井沢さんが可哀想なことになりそうな予感しかしないです。

現状ぱっと見、バットエンドにしか見えないですが、そんな予想が裏切られることも期待してます。綾小路は入学当初より友達は増えたし、親しいと思ってる人もできたけど、やはり感情が欠如していて、その点で入学時と変わっておらず、成長できていないと思います。

ロボットのような綾小路が感情を知るという物語であるならば、最後の挿絵で笑ってたらもうハッピーエンドなわけです。今後同じ構図の挿絵で、綾小路が笑っている絵が見られると信じてますし、物語的にはそうならないと綾小路は何も成長せずに終わることになると思います。

この物語のテーマが、ロボットのような人間が感情の大切さを知るということであれば、ヴァイオレット・エヴァーガーデンみたいな感じですが、ただ軽井沢さんが捨てられるような悲しい未来にはならないと思うというのが願望込みの私の予想です。

 

綾小路の行く末

今後2年生編が始まっていきますが、綾小路が何を目指していくのかが気になるところです。今回、卒業後はホワイトルームに戻る意思を見せていましたね。龍園や一ノ瀬、堀北を導くような動きをしていて、指導者として動くことに面白さを感じているような気がします。ただ、上でも述べましたが、今後綾小路の成長が描かれるのであれば、ホワイトルームには戻らず、自分の道を進む終わり方になるかもしれませんね。

また、2年生の最初はホワイトルームからの刺客との対決になりそうです。月城やその背後の父親とも戦わないといけないので、中ボスの前の小ボス戦みたいな感じでしょうか。刺客を見抜くという人狼的な展開が面白そうですし、ホワイトルーム上がりの人物なら相当実力があるはずなので非常に楽しみです。なんとなく男ではなく、女の子が刺客なんじゃないかと予想してます。

 

その他

その他雑感としては、新キャラとして、松下さんが出てきましたね。挿絵などからして気が強そうで、実力を隠してるタイプでした。衣笠さんはキャラのバリエーション多いですね。松下さんが今後実力を出していけばそこそこ活躍しそうですが、綾小路に絡んでいくことはそんなないんじゃねって感じがします。

他には、拾われなかった伏線も結構あるなーって気がしますね。櫛田を退学させると言っておきながら、結局堀北に判断を委ねてますし、堀北兄繋がりの桐山なんか全く話に出てこなかったですよね。

ここら辺は衣笠さんの良くない癖な気がしていて、とりあえずカッコいい展開にするため意味深な伏線らしき描写をするのですが、結局回収されないことは割とある気がします。

衣笠さんは最後まで緻密なプロットがあるわけでなく、その時の感じで話を書いてるような気がするんですよね。今後も投げっぱなしな伏線は増えそうだと思ってまして、一ノ瀬さんとの約束も最終的に回収されなくても不思議じゃない気がします。

まあ個人的には、連載作品なので全く全てに辻褄合わせて、全ての伏線回収して終わるのは難しいと思うので、ある程度ちゃんと終わってくれればいいかなって思いますね。ラノベだと、だんだん刊行スピードが落ちて、次巻発売未定になり、完結せずって作品は多くあるので、そうならなければ満足って感じです。俺ガイルとかほんとに終わるのかなって感じでしたし。

 

最後は話が逸れましたが、よう実11.5巻の感想でした。だいぶ長くなりましたが、それだけ内容の多い話だった気がします。あと、SS付の画集が発売されるみたいですね。買うか決めてないですが、SSがめっちゃ欲しいのと、トモセさんと衣笠さんの対談も気になるので買うかもしれません。