頭の中のふきだまり

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冷たい校舎の時は止まる 感想

 

辻村深月さんのデビュー作ということで読んでみましたが、なかなかに暗くそして長い作品です。

8人が校舎に閉じ込められ、一人ずつ消されていく密室もので、アガサ・クリスティそして誰もいなくなったに似たような構成になっていますが、いわゆる仮想空間の中での話なので、ミステリではなくどちらかというとホラーテイストの強い作品になってました。

デビュー作ということですが、かがみの孤城と似たような展開を感じます。ただし、雰囲気は全然違っててかなり重苦しい展開がつづきますね。

登場人物8人が抱えるそれぞれの苦悩が深掘されていってなかなか読んでてしんどいです。それぞれのキャラクターについて死んだ順に触れてみます。

充は自分自身の将来に絶望していて、明るい絶望という言葉が印象的でした。自分は主人公にはなれないと思っていて、それなりの人生で終わるんだろうなという諦観みたいなの抱えているキャラクターだったと思います。

昭彦は、幼馴染がいじめで自殺した過去をもっていて、いじめや自殺を止められなかった後悔を持っていました。

清水は特待生で周りから距離をおかれ、友達がいなくて、やっとできた友達を大事に思っていたため、閉じ込められた空間を心地よく感じることに罪悪感を感じていたみたいです。

梨香は親が離婚し妹はグレて家庭環境最悪で売春に手を出していました。売春相手に騙され金を取られたときに榊に救われ、更生できました。客観的に環境が一番しんどそうなのは梨香だった気がしてます。

景子は、裕二と相思相愛ながら、裕二に対する独占欲を持つ自分がいやという理由で裕二を振っていました。最終的には裕二と向き合うことをえらんでいて、唯一グッドエンド感があった気がします。

菅原はなんと実は榊でした。榊は名字と思わせておいて、名前だったわけですね。叙述トリックっぽい感じがします。中学の頃にヒロを助けられなかったことから教師を目指したっぽいですね。

そして、鷹野はおとなしい方のヒロでした。榊とは小学校の頃から絆があったということですね。ヒロを失った傷を美月に癒やしてもらっていたことから、美月は大切な存在だったのだと思います。

美月は作者と同名であり、明らかに重要な人物だと思って読んでましたが、自殺者は春子であり、美月ではありませんでした。ただ、春子を自殺に追い込んでしまった罪悪感から自殺を図り、生死をさまよう状態のなかで、みんなを内側に閉じ込めたというストーリーだったわけですね。気にしなくていいはずなのに気にして自分を攻めてしまう性質は、理解できない人には全くわからないと思いますが、私はめちゃくちゃ共感できます。どちらかというと私は美月と同じように弱い人間なので、わかる。。つらい。。って思いながら読んでました。

そして、何故辻村深月作品が自分に刺さるのかが理解できた気がします。深月が抱える、自分を責めてしまって苦しくなる性質が自分に似ていて、同じような苦しみを抱えているからなのかなと思いました。辻村深月作品は、めちゃくちゃ苦しい話から最後に希望が差し込むみたいな話が多いですが、苦しい部分が自分が共感できる話が多いので、それだけ希望に感動できるのかなと思いました。