頭の中のふきだまり

考えたこと感じたことを綴るブログ

島はぼくらと 感想

なんか本を読もうと思い、図書館で借りた本でした。小説を読むのは久々だったのですが辻村深月さんらしい暖かいお話で感動しました。

瀬戸内海の島のコミュニティがテーマになっていて、Iターンで来た人と元々の住人との化学反応が背景にあるような話でした。章ごとにテーマが変わり、視点も変わっていく作りになっていましたね。

1章はイントロダクションみたいな感じで、自称ゴーストライターがウザくて笑いました。ここまで空っぽの人も珍しいですよね。島のコミュニティがどういうものなのかを説明するような話でした。

2章はフキちゃんの話。オリンピックのメダリストであるフキちゃんが、色々なことに疲れて、シングルマザーとして、島にたどり着くという背景があって、両親と再会するもうまくいかないみたいな話でした。故郷だからといって大切にしてくれないというのはなんとなくわかります。親戚とか親族って実は敵になることもあるので、自分の大切な家族だけ大事にしたいとか思います。元輝がフキちゃんの父親にアドバイスすることで丸く収まるのですが、実は島の絆をめちゃくちゃ大切にしてる元輝はいいキャラだなと思いました。親が離婚する際どっちについていくかという決断をするときに、朱里を選んだってとこがいいなあと思いましまね。また、元輝の母親の母子手帳のところもすごい胸がいっぱいになりました。

3章はヨシノがメインでした。島の行政やIターンの人々をつなぐような仕事をしているヨシノですが、テレビ取材により、村長とヨシノの軋轢が生まれる話でした。明里の母親の最終的な決断は、シングルマザーの居場所を作るという当初の目的を貫いててエモかったですね。

4章は明里の祖母の親友を探すはなし。修学旅行の途中で抜け出すという展開はワクワクしますよね。4人の絆が描かれるわけですか、ここまであまり心情が語られずクールなキャラだった衣花にスポットがあたっていたと思います。衣花が行かないでと懇願するところはつれーよーってなりましたが、ラストで朱里が帰ってきて、おかえりと叫んで終わるところは辻村さんらしい暖かさを感じましたね。

期待通りの暖かい話でした。辻村さんの作品は好きなので他にも色々と読みたいですね。