頭の中のふきだまり

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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 感想

劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを見たので感想を残しておきます。ぶっちゃけ話としては複雑なものはないのですが、序盤中盤終盤で手堅く泣かせてくる映画でした。映画でここまで泣いたのは久しぶりな気がします。案の定マスクがびちょびちょになりましたね。以下ネタバレありです。

 

 

最初からフルスロットルで泣かせてくる

最初から、テレビシリーズでめちゃくちゃ泣かされた内容から始まるのですが、それだけで泣いてしまった気がします。死期を悟った母親が子供、アンに対して、誕生日の手紙を書くっていう話ってずるいくらい泣けますよね。テレビシリーズ見た時は尋常じゃないくらい泣いた記憶があります。その感動がまた呼び起こされてかなりうるっときましたね。

アンの孫を登場させてヴァイオレットの足跡を辿らせるという流れは、もうある意味完結している話の続編としてはうまい流れだったと思いますし、最後にアン目線でヴァイオレット達がその後ずっと一緒に過ごせたんだと分かるところも良かったと思いますね。

 

病気で余命を悟っている少年というまたしんどい設定

また、今回ヴァイオレットのお客さんとなる少年、ユリスの話もまた泣ける話でした。ぶっちゃけ、病気で死の淵にいる人間が何かを伝えるという内容は、かなりアンの話と被ってはいるわけですが、亡くなる直前に親友に感謝と謝罪の想いを伝えるシーンと遺書を家族が読むシーンは泣いてしまいましたね。というかこのシチュエーションってどう料理しても泣くようにしかならないと思うので、ずるい感じはしますが、ユリスが最後に想いを伝えられて良かったねってなりました。

 

ヴァイオレットとギルベルト

本作のテーマはヴァイオレットの成長であり、愛してるの意味を知ることだと思います。テレビシリーズでは、最初機械のようだったヴァイオレットが、ドールの仕事を通して人の心を知っていき、人のことで泣けるようにすらなり、愛しているの意味をわかるようになる過程が丁寧に描かれていて、正直、話的に完結していると思ってました。

唯一完結していない点はギルベルトの消息というところで、そこにメスを入れたのが本作だったわけですね。個人的にはギルベルトの生死はテーマと関係ないと思ってたので、ギルベルトが死んじゃってたというオチでも全然受けいれられると思っていました。本作では、ギルベルトとヴァイオレットがなんやかんや結ばれるという超絶ハッピーエンドで、見た後ほっこりした気分になる話でしたね。

続編があると知り、情報を見ていくと、どうやらギルベルト生きてるのは確実やんけってなりましたし、確かPVでギルベルトさん普通に喋ってたので、ギルベルトの生存は割と公式的にネタバレされてた気がします。だから、もうこれ絶対ギルベルトとヴァイオレットが結ばれるの確定じゃんって見る前から思ってて、まあ結末としては案の定だよねってなりました。

ヴァイオレットが訪ねてきた時にギルベルト拒絶するシーンは、映画の展開的にそうなることは分かってましたが、なんでわざわざ来てくれたのに拒否すんねん!ってなりましたね。まあ、すぐ会って結ばれたら、話の盛り上がりもクソもないわけですが。

最終的に、ヴァイオレットからの手紙を読んだギルベルトが、ダッシュでヴァイオレットに会いにいくという、なんとも映画的展開になるわけですが、テレビシリーズから好きだった、みちしるべが流れるところはすごく好きでした。あの曲めっちゃ静かに始まる割に最後めちゃくちゃ盛り上がってめちゃくちゃエモいんですよね。

完全に予想できた展開で予想できたラストでありながら、それでもなお感動できたし、とても満たされた、幸せな気持ちになれました。

 

特典の小説が凝っている

また、特典の小説が地味に凝ってたところも好きでした。全編ギルベルトさんの視点の話になっていて、辛い過去の回想が黒背景で描かれ、今の幸せな話が白背景で描かれるという、紙の色で舞台を表現しているところが単純でありながらセンスあると思いました。更に読み進めていくと、白背景でも不安で重い描写でてきて、混乱してきたところで、全て夢だったことが分かるわけですね。最初ヴァイオレットの両手が健在である描写があったので、そこからも現実でないことは分かりますが、黒背景と白背景のシステムを使いつつ、それを逆手にとって読者にギルベルトが感じたような動揺や混乱を与える手法は、特典でありながらレベル高いように感じました。叙述トリックではないですが、このようなトリック的な技法はかなり好みです。

 


特に言及しなかったですが、作画は流石京アニって感じで美しく、映画館で見るとより映える感じがしました。火災事件があってからよくぞここまでクオリティの高いものを出してくれたって思いますし、あの状況から立ち上がって素晴らしいものを作り上げてくれたってことだけで、泣けますね。本当に制作者さん達に感謝したいです。