頭の中のふきだまり

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アメリカンスナイパー 感想

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飛行機で見た映画シリーズの最後がアメリカンスナイパーです。アカデミー賞を取っているのも頷けるような、メッセージ性のある作品でした。クリントイーストウッド監督の骨太な作品でこれぞ映画って感じでしたね。

 

リアリティのある戦闘描写

アフガン戦争で活躍したスナイパーを描いた実話なのですが、リアリティのある現代の戦争描写が非常に印象的でした。グリザイアやってた時からこういう戦闘描写が好きだったので、その面で面白かったです。

最初のシーンが子供を撃つか迷ってるシーンでしたが、まずそのシーンで引き込まれましたね。戦場で誰が敵かわからない状況で、味方を殺す存在であれば子供であっても殺さなければいけないという事が地獄のような状況だと感じましたし、実際そのような戦争が割と最近まで、そして今もなお行われてることがリアリティ持って感じられました。

 

壊れゆくヒーローの二面性

そしてそんな悲惨な戦争の中で、英雄と称えられた海兵の物語なのですが、英雄として称えられるヒーローの側面もあれば、次第に戦争に心を壊されていく側面もありました。

敵側にも凄腕のスナイパーがいたり、二面性がすごい意識されてると思っていて、主人公はアメリカを守る一心になってますが、映画全体として見ると決してアメリカ万歳一辺倒ではないというか、ヒーローの光と闇を書いたような作品だったと思います。

家族のことを愛しているはずの主人公が戦争に心を囚われ、家族と心が離れていく描写はしんどかったですし、どんな強靭な人間も、戦争に関われば心を蝕まれるって感じました。

 

衝撃のラスト

それでも最後は家族と一緒に過ごしていて、家族の元に戻れてよかったねで終わると思ったのですが、衝撃のラストでした。引退後は、トラウマを負った引退兵たちのケアをしていた主人公ですが、結末としてはその引退兵の1人に殺されるという、救いようのない終わり方でした。この戦争で英雄となり、戦争に心を壊され、ギリギリ生きて帰ってきたけれど、最終的には戦争に殺されてしまったように感じます。戦争の悲惨さと一言で片付けられないものを伝えてくれる映画だと思いましたね。

 

羊と狼と番犬

序盤に、羊と狼と番犬という例えが出てきます。羊がか弱き人々で、狼が弱い人を攻撃する存在、番犬が弱いものを守る存在ですね。アメリカは現代世界の番犬としての役割を担っていて、主人公自体も番犬であろうとしていました。そして、心が危うくなりながらも主人公は番犬としての役目を果たすのですが、上でも書いた通り、最後には守るべき羊に殺されるという結末でした。

アメリカが世界の番犬としてあり続けることは無理だってところまでのメッセージはないと思いますけど、番犬であり続けることの難しさやほんとに番犬である必要性があるんだろうかということを考えさせられる内容でしたね。もしかしたら主人公は、自分では番犬だと思い込んでいたけど、それは思い込みでしかなかったかもしれないし、アフガンの人にとっては狼に見えていたかもしれません。戦争の難しさというか、正義の難しさを感じます。

 

重みと深みのある作品でした。なにかを伝えようとする意思を感じますし、これぞ映画って思いますね。