頭の中のふきだまり

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「ラブコメ今昔」有川浩 感想

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有川浩さんのラブコメ今昔を読んだので感想を書きます。有川さんの作品はキケンだけ読んだことあるのですが、恋愛小説も有名と聞いたことがあったので手にとってみました。キケンで感じた読みやすさはそのままに、自衛隊の人達の恋愛模様が短編の形となっていて、サクッと読めるし面白かったです。ただの恋愛小説ではなくて、それぞれの自衛隊員の信条が描かれていたところも良かったです。自衛隊短編ラブコメシリーズは第2弾みたいなので、第1弾のクジラの彼も読んでみたくなりましたね。以下、ネタバレ有りです。

 

○とても読みやすい内容

あとがきで知ったのですが、有川浩さんは大人向けのライトノベル作家を自称してるらしいですね。ライトノベル特有の地の文の痛さみたいなのはないんですが、ライトノベル並みの軽快さで非常に読みやすいです。ここはキケンでも感じたことですね。本作品は短編集で語り手が性別も年齢も違うのですが、どれも軽妙な語り口で飽きずに読めました。

個人的に一番好きだった話は軍事とオタクと彼ですね。この話で出てくる彼がすごいいい奴だなあって思いました。オタクなので海外にいる間、連載中の漫画のことが気になり、その話を彼女にメールしてしまったり、特撮の録画を頼んでいたりなど、女心が分からない側面も大いにあるんですけど、自分が危険な任務についていながら、それを彼女に心配させないようにしていたり、出会いで描かれていたように、見知らぬ人にもすごく優しかったりめっちゃいい奴だと感じました。なにより、ベッドの上に彼女との写真を貼っていて、彼女のことを本当に大切に思ってるところがすごい良かったですね。他の作品でも男女共に捻くれたキャラクターは出てこなくて、全てハッピーエンドになるので、まっすぐな恋愛って感じで、スッキリ爽やかな読後感でした。

 

○各話で描かれる自衛官の信条

恋愛小説であるんですけど、ただのラブコメでなくて、それぞれの話に自衛官の信条がしっかり描かれていたとこも良かったです。少しは自衛隊のことが理解できたかなって思えましたね。各話でテーマとして感じたことを書いてみます。

最初のラブコメ今昔では、自衛官はいつ死ぬか分からないもので、自衛官として生きていく上では有事の事を現実的に考えないといけないってことがメッセージとしてあった気がします。自衛官同士で結婚した時に両方とも死んでしまったら残った子供はどうするんだという問いは非常に重いものでしたね。

軍事とオタクと彼では、自衛官は困ってる人がいたら無償で助けるという信条を持ってることを感じました。

広報官走るでは、国を守るという強い意思を持って自衛官は任務に当たっていて、任務中に怖いなんて思う隙間もないってことがメッセージになってました。任務中に怖いって思うんじゃないかというテレビマンの解釈と対比されて分かりやすかったですね。

青の衝撃では、自衛官にとってのミスの深刻さがテーマだったのかと思います。ファンにとっては可愛く見えるミスでも最悪死に繋がってしまうということを気づかされました。

秘め事では、自衛官はいつ死ぬか分からないということを感じました。あとがきで特にパイロットは訓練中の事故死が多く同期の半分も残ってないなんてこともあるようです。まさに命を賭した職であると思いましたね。

ダンディライオンでは、割とラブコメ中心でしたが、自衛隊の裏方のひたむきさみたいなを感じました。

共通して、命を賭けて国民を守るという信条が自衛官にはあって、それを伝えたいっていうメッセージをすごく感じましたね。

 

次は有川浩さんの塩の街を読んでみます。有川浩さんは読みやすくていいですね。しばらく小説感想ばっかりのブログになりそう。